シンガポールの永住権申請の未来: ローカル言語要件は現実となる?
- Visa Navi Singapore

- 2025年1月7日
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更新日:2025年12月12日
2025年1月掲載
2025年12月更新
シンガポールの永住権申請の未来: 地元言語要件は追加される?
シンガポールは、国際的な文化、豊富なビジネスチャンス、そして多文化社会で知られ、永住権(PR)を求める外国人にとって人気の国の一つとなっています。しかし、多くの国が移民政策の一環として厳格な言語要件を導入している一方で、シンガポールはそのような基準を設けていません。将来的にこの状況が変わる可能性はあるのでしょうか?
ここでは、シンガポールのPR申請プロセスにローカル言語要件が組み込まれる可能性と、それに影響を与える要因について考察します。
現在のシンガポールのPR申請における言語要件
現在、シンガポールではPR申請時に特定の言語能力基準を満たすことは義務付けられていません。しかし、シンガポールの公用語の1つであり、政府やビジネス、教育で主要なコミュニケーション手段となっている英語は、非常に望ましいスキルとされています。英語の能力は、シンガポール社会への統合を促進し、雇用の可能性を高める資産と見なされています。
にもかかわらず、正式な言語テストやスコアリングが存在しないことは、他国と比較して、海外への永住申請を希望する人々を惹きつける理由の一つとなります。この言語要件を設けない包括性により、さまざまな言語的背景を持つ個人が追加の障壁なしに申請することが可能になっています。
ただし、言語要件は完全に公的議論から外れているわけではありません。2023年2月の国会質問では、PRおよび市民権申請要件に英語能力を含める可能性について議論が行われました。ジョセフィン・テオ大臣(当時)は、言語能力は現在必須とはされていないものの、こうした議論は継続的な検討が必要なことを反映していると述べました。つまり、将来の政府政策の変更が完全には排除されていないことを示唆しています。
PRと市民権の審査に言語要件を導入しているか質問をしたプリータム・シン議員(当時)は、シンガポール国勢調査の当時の最新データに基づき、自宅で最も頻繁に使用している言語が英語であるシンガポール国民が48.3%である一方で、10年前は同32.3%であったことを指摘しつつ、英語試験で申請者のシンガポール社会への融合度合いを測ることができるのでは、と述べています。
他国での言語要件導入事例
世界では政策の一つとして戦略的に移民を広く受け入れている国々があり、その国の言語能力が正式に移民審査に反映されているケースが欧米などで見受けられます。
スイス: PR申請者は、語学試験でドイツ語、フランス語、またはイタリア語のいずれかの言語に精通していることを証明する必要があります。
オーストラリア: 移民審査は既にポイント制に移行しており、英語能力を含むさまざまな基準で申請者が評価されています。
言語要件は、移民となる申請者がその国の文化や社会の仕組みに馴染み、社会にうまく溶け込み、市民生活に積極的に参加できるようにすることを目的として使われています。
COMPASSシステムのPRへの潜在的影響
2023年9月、シンガポールは雇用パス(EP)申請の評価ツールとして、COMPASS(Complementarity Assessment Framework)を導入しました。このシステムは、資格、スキル、経済的貢献などのさまざまな要素に基づいて申請者を評価する仕組みです。この新たな制度は、シンガポールの雇用パスの審査制度を国際標準となっている手法に合わせるものですが、PR審査プロセスをより体系化するための資金石となる可能性があります。
移民政策に力を入れている他国同様、シンガポールが将来的にPR申請についてもCOMPASSのようなポイント制を導入する可能性は否めません。言語要件は、この枠組みの中に組み込まれる可能性はあり、英語やマンダリン、マレー語、タミル語などのローカル言語に精通している申請者が優遇される可能性はあります。ただし、言語要件の導入は、移民の社会統合という実際的な利益とより高度なスキルを持った外国人を惹きつける国としての魅力を低下させる可能性とのバランスを取る必要があるため、今後も議論は続けられると思われます。
まとめ
シンガポールの現在のPR枠組みには言語要件は含まれていませんが、進化する国際的な慣行やCOMPASSのようなシステムの導入は、将来的に変化が起こる可能性を示唆しています。この議論に関する国会質問では、政府が今現在導入を計画していなくても、可能性を探る用意があることが強調されています。
シンガポールが将来の課題に対応するために政策を柔軟に変化させ続ける中で、世界中の人材を引き付けることと、社会的結束を育むことのバランスを取ることが重要となるでしょう。ローカル言語要件が現実のものとなるかどうかは、今後の政府の優先事項の位置付けによると考えられます。
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