2025年2月
シンガポールに在留する日本人の人口が、2024年に4年ぶりに増加へと転じました。これまでの減少傾向から一転し、どのような変化が起こっているのか、またデータを踏まえたPR(永住権)申請の戦略についても考察していきます。
在シンガポール邦人数調査統計

出典:外務省「海外在留邦人数調査統計」
Visa Navi Singapore編集
2024年の在留邦人数の動向
外務省(日本)は2025年1月20日、海外在留邦人数調査統計*(2024年10月1日現在)を発表しました。それによると2024年のシンガポール在留邦人数は 32,565人 となり、前年比 3.8%増加 しました。2021年以降、新型コロナウイルスの影響で在留邦人数が減少を続けていましたが、ついに回復傾向へと転じた形です。
長期滞在者数の回復
長期滞在者(就労ビザや家族ビザを保持する人)の数は 27,713人 となり、全体の 85.1% を占めています。この数値は2019年以来 5年ぶりの増加 で、前年比 3.5%増 という結果になりました。2020年~2023年はコロナ禍の影響で減少傾向が続いていましたが、ようやく上昇に転換し、回復の兆しが見られます。
PR(永住者)数の変化
2024年のPR(永住者)数は 4,852人 で、前年より 5.6%増加 しました。しかし、2022年や2023年の二桁増(13.9%増など)と比較すると、増加率は大幅に減少しています。特に、長期滞在者が増加に転じた2024年において、PR新規承認者数が半減していることは注目すべきポイントです。
PR申請の傾向と難易度の変化
長期滞在者が増えている一方で、PR承認者数の増加が鈍化していることから、 日本人のPR申請の難易度が上昇している可能性 があると考えられます。2020年以降の年間新規承認者数は、コロナ禍の2021年を除き、例年約550-650名だったため、2024年の新規PR取得者数 259名 は大幅低下になります。そのため、日本人のPR申請に対する基準が変化している可能性があります。
PR申請戦略
COMPASS導入以降、 長期滞在者(Employment Pass、S Passなど)からPRへ移行する流れが強まっている 傾向に変わりはありません。今後PR申請を考えている方は、以下のポイントを意識することが重要になります。
就業・納税実績の強化
安定した収入、継続的な収入の増加、シンガポールでの就労実績、遅延のない納税履歴
申請のタイミングの見極め
今後のデータやシンガポール政府の移民政策の動向を注視しながら、自身にとって最適な時期に申請を行う
早めの申請を検討
シンガポール政府が移民政策を調整し、日本人のPR枠が縮小されはじめた可能性もあるため、 競争が激化する前に申請を進めることが有利
今後の展望
2024年の在留邦人数は増加に転じたものの、 2014年の水準にはまだ到達していません 。今後も増加は続くと見込まれるため、移民政策が変更されなくても、在留邦人数の増加に伴うPR申請者の自然増により、競争率が上昇する可能性 があります。
そのため、今後PR取得を考えている方は、シンガポールでの実績をしっかり積み上げつつ、早めの申請を検討することが重要です。政府の方針や人口動態の変化を踏まえ、適切なタイミングで行動を起こすことがカギとなりそうです。
今後のデータの推移を見守りつつ、シンガポールでのキャリアやライフプランを計画的に進めていってください。
*外務省発表の数字は在留届を基礎資料としているため、実際の人数とは異なる場合があります。統計データはトレンドを見るための指標として参照ください。
Visa Navi Singaporeは、お客様ごとの経歴に合わせた書類作りのアドバイスに定評があります。お気軽にご相談ください。 Visa Navi Singapore |