top of page
検索

シンガポール永住権(PR)承認傾向分析 | 2024年最新データから見る戦略的移民政策

  • 執筆者の写真: Visa Navi Singapore
    Visa Navi Singapore
  • 21 時間前
  • 読了時間: 4分

更新日:39 分前

2025年10月


2024年、シンガポールの永住権(Permanent Residency, PR)承認者数は35,264人となり、過去15年間で最高水準を記録しました。本記事では、最新データを基にシンガポールの移民政策がどのように変化しているのかを詳しく分析します。



承認者数の推移:コロナ禍からの完全回復

2024年のPR承認者数は35,264人は、過去15年間の平均*(31,330人)を上回る数字です。

*コロナ禍の2020年を除く

2020年のパンデミック期には永住権承認者数は27,470人まで急減し(前年比−16.5%)、大きく落ち込みました。しかしその後、パンデミックによる一時的な落ち込みから完全に回復し、2024年は過去15年で最高値を達成し、2010年から続く緩やかな増加軌道を維持しています。

2024年の前年比伸び率2.24%は、2020年を除く過去15年間の平均(1.63%)を若干上回るものの、ほぼ同水準であり、シンガポールが持続可能なペースでの人口政策を展開していることがわかりますつまり、シンガポールは「量より安定」の方針を堅持しつつ、持続的に永住者数を増やしていることが分かります。


PR/国籍承認者数推移

ree


年齢層別分析:経験豊富な30代・40代へのシフト

2024年のデータで最も顕著なのは、31-40歳層の台頭です。

年齢層

2014年

2024年

傾向

20歳以下

27.5%

24.8%

減少(−2.7pt)

21–30歳

40.6%

32.6%

減少(−8.0pt)

31–40歳

24.9%

31.4%

増加(+6.5pt)

40歳以上

7.0%

11.3%

増加(+4.3pt)

この10年で若年層が減少し、代わりに31〜40歳の中堅層が過去10年で最も高い水準に増加しました。これまで圧倒的に割合が多かった21-30歳は近年減少傾向にあり、逆に中堅層が承認者数に寄与している傾向が伺えます。また、40歳以降の割合も緩やかではありますが着実に上昇基調を描いており、承認者が若年層中心からより経験豊富な30代・40代へシフトしていることが見て取れます。


30歳以上の層は、経験・生産性・安定性のバランスが取れており、この層の台頭は専門性の高い人材へのニーズを反映していることがうかがえます。この傾向は、単なる労働力補充ではなく、即戦力となる中堅専門職を永住者として戦略的に獲得しようとする意図を表しているのかもしれません。


 

2024年 PR/国籍取得者プロフィール

ree


出身地域:東南アジアの存在感が拡大

地域別に見ると、東南アジア出身者の比率が63.9%に達し、過去10年間で最高値を記録しました。日本も含まれるその他アジア諸国の割合は、2016年と並び過去10年で最低値(29.6%)となりました。ただし、両地域の比率は年によって大きく変動しており(東南アジア55.5%〜63.9%、その他アジア29.6%〜38.5%)、経済情勢や政策調整、申請者の質などに応じて、大枠となる各地域の割合の中で柔軟に調整されていることが伺えます。

 


学歴構成:高学歴化の加速

教育水準別では、高等教育(高校・専門学校・短大・大学以上)修了者の割合が85.5%に達し、過去10年で最高水準となりました。 10年前の2014年の74.9%から+10.6ポイント上昇し、明らかに知識労働者中心の選考方針が進んでいます。中等教育以下の承認者の割合14.5%は、過去10年間の平均(18.25%)と比較して減少しています。


この高学歴化は、知識集約型産業への構造転換、高付加価値サービス業の強化、グローバル競争力の維持といったシンガポールの経済戦略と軌を一にしており、高度人材への選好が年々強まっていることを示しています。

 

まとめ

2024年のシンガポールPR承認データは、選別的移民政策の実態を表していると言えます。


主要な特徴:

  1. 高スキル人材への特化

    • 高等教育保持者85.5%という圧倒的な高学歴化

    • 高スキル・高生産性人材が豊富な31-40歳層にシフトしつつある年齢構成

  2. 社会統合の容易性重視

    • 東南アジアとその他アジア出身者で93.5%という地域的集中

    • 文化的・言語的親和性による社会的摩擦の最小化

  3. 経済競争力の維持

    • 小子高齢化による労働力減少を高生産性外国人材で補完

    • 即戦力となる中堅専門職の戦略的獲得

 

シンガポールは、自国の抱える少子高齢化と持続的な経済成長という課題に対し、質の高い外国人材の戦略的獲得を解決策の一つとしています。移民政策は経済高度化、既存社会との社会統合、持続可能性という三つの目標を同時に追求する、かなり洗練された戦略的モデルと言えます。


PR承認者は単なる人口対策ではなく、国家の生産性と社会的安定を支える基盤として位置付けられています。

今後も、シンガポールは世界で最も戦略的に移民を活用する国のひとつとして、質の高い人材を引き寄せながら、社会のバランスを保つ巧みな政策運営を続けていくと思われます。



こちらの記事もあわせてご覧ください。


Visa Navi Singaporeは、お客様ごとの経歴に合わせた書類作りのアドバイスに定評があります。お気軽にご相談ください。

Visa Navi Singapore

info@visanavi-singapore.com



 
 
  • Instagram
  • LinkedIn
  • X
  • Facebook

©2025 by Visa Navi Singapore

bottom of page