前回のシンガポール永住権(Permanent Residency通称PR)取得のメリットに続き、今回は申請の際知っておきたい注意点についてもまとめてみました(2023年12月現在)。いくつかの項目については実際にデメリットと捉えるかどうかは人それぞれですが、知っておいた上で申請を進めていただくことが取得後の満足度向上につながる鍵になります!
1: PR2世以降は兵役の義務がある
PRが承認された申請者は兵役(NS)を免除されますが、同時に承認された息子(2世)はNSの義務が生じます。NSは生涯の友人を得る機会になったり、NSに従事したPRは外国人としてではなくシンガポール社会の一員と見なされる要因になるなどメリットもある一方、一時的に学業やキャリアに影響を与えるというデメリットもあります。また正当な理由なくNSを免れようとした場合、罰金か禁錮又はその両方が課せられる上、場合によってはPRがキャンセルされることもあります。
2: 手取り金額が減る
PRになったら加入することになるCPFにより、年齢と年収にもよりますが2023年12月現在、一般的には額面から20%がCPFへ拠出となり手取り額が減ることになります。企業によってはCPF拠出相当額を補填するケースもあるようですので、お勤めの会社に確認してみるのも良いかもしれません。
3: CPFの利回り
CPFに雇用主と雇用者が拠出した金額は老後資金、医療、住宅購入等目的に合わせた別々のCPF口座で運用されます。2023年12月現在の運用利回りは老後資金と医療の口座が4.04%、住宅購入に充てられる口座が2.5%となっています。投資における考え方は個人のリスク志向や老後資産計画にもよりますが、人によっては自身で運用した方が高い運用益を得られると感じる方もいるかもしれません。
4: CPF引き出し年齢の制限
CPF拠出金は原則として一定の年齢にならないと引き出せない仕組みになっています。長期運用資産として政府に管理してもらえる一方、急に大きな金額が必要となった際に目的外の用途には使えない資産であることは注意が必要です。
5: HDB購入制限
PRは中古HDBを購入することが可能ですが、海外で不動産を所有している場合は売却か所有者の名義変更をしないとHDBが購入できない仕組みになっています。日本で自宅や投資物件を保有している方は、どちらの不動産を優先するか検討が必要になります。
6: PRはキャンセルされる場合もある
シンガポール永住権は国に貢献する外国人に与えられたステータスのため、重大な犯罪を犯した場合はPRが剥奪される場合もあります。
7: PRは実質的には永住権ではない
PR自体は有効期限のあるステータスではありませんが、PR保持者は5年毎に再入国許可(Re-entry Permit) の更新が必要になります。ほとんどの場合は簡単な更新になりますが、永住の根拠となる理由に変更があった場合(主申請者の配偶者としてPRになったが離婚した、別の国に転勤となり既にシンガポールに居住していないなど)追加書類の提出が求められ、場合によっては5年より短い有効期限の許可しかおりなかったり、最悪の場合却下になるケースもあります。却下になった場合は残念ながら永住権も失効してしまいます。会社員がリタイアした場合の許可更新は現時点ではケースバイケースのようです。今後この傾向がどのように変わるかは現時点では不明ですが、自動的に永住できるステータスではないことはご注意が必要です。
いかがでしたか?シンガポール永住権取得には魅力もあり注意点もあります。現時点と将来のメリットとデメリットを考慮した上で申請を進めることが将来の満足度を上げる鍵となります。取得競争率は高い申請ですので戦略的に申請を作ってくれるプロのサポートを得つつ、ご自身やご家族の夢やゴールを当地で達成いただければ幸いです!
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