今回はよくご質問のある、定年退職した後のPRの再入国許可更新申請についてご紹介します。
シンガポールでは永住権 (PR) のステータスには有効期限がないものの、PR保持者は5年ごとに再入国許可証(Re-entry Permit、REP)の更新を行う必要があります。REPが失効すると永住権も失効するため、この更新はPR保持のため非常に重要になります。
シンガポールではPRを含めたビザの細かな発給データは開示されませんが、国会質問で一部データが明らかにされることはあります。今回は過去の国会質問から得られたデータに基づいて、引退したPRのREP更新状況について考察します。
◾️再入国許可とは?
PR自体は有効期限のあるステータスではありませんが、PR保持者は5年毎に再入国許可(Re-entry Permit=REP) の更新が必要になります。このREPが海外に滞在しているときに失効してしまったり*、更新申請が却下になった場合は残念ながら永住権も失効してしまいます。ほとんどの更新はオンラインフォームに入力のみの簡単な申請になりますが、EPからPRになった人がリタイアした場合のような、永住の根拠となる理由に変更があった場合は、追加書類の提出が求められる場合があります。
*海外滞在中に失効した場合は、所定の期間内に更新手続きを行えばPRの失効を回避できます。
◾️過去の国会質問(2020年2月。内務省および国家開発省上級議会書記官、サン・シュエリン氏との質疑応答)より考察
1. 更新申請数と却下率:
過去5年間で、約52,400人の引退したシンガポールPRがREPの更新を申請し、そのうち約2%が却下されました。この却下率は2010年から2015年の期間と同様で、長期的に見ても安定していることが分かります。却下の主な理由は、申請者が長期間シンガポールを離れていたことに加え、シンガポールに家族のつながりがないことです。
2. 更新審査時の審査事項:
更新が承認されるかどうかは、申請者がシンガポールに対してどれだけ貢献しているか、家族がシンガポールにいるか、そして申請者が就労しているかどうか等に大きく依存しています。引退したPRの場合は過去の貢献が評価されるため、一般的にはREPが更新される傾向にあります。
3. 5年更新のREPの意義:
長期間シンガポールから離れていたり、リタイアしたPRがREPを更新する際には、追加の書類提出が求められるケースがあります。その場合更新されても、場合によっては有効期限が5年未満のREPが発行されることがあります。このことはシンガポール政府が引退したPRの状況を継続的にモニターし、適切な時期に再評価する姿勢を示しています。
4. これからPRを申請する方へのアドバイス:
リタイア後のREP更新は、現在の収入ではなく、過去のシンガポールへの貢献が評価されます。そのためPRになってからリタイアまでの間、しっかりと貢献実績を積み重ねておくことが大切です。
過去の数字からもシンガポールのREP更新における基準は一貫しているようです。リタイアしたPRに対しても約98%が許可されているというデータから、収入がなくなっても過去の貢献を認める形でほとんどの方が更新されているようです。
EP枠でPRの申請を検討している方は、リタイアまでのシンガポールへの経済的貢献等の実績を出来るだけ長く積めるよう、早めの申請が肝心と言えそうです。