日本人のシンガポールPR取得者数の推移について、外務省「海外在留邦人数調査統計」を基に考察を行ってみました。
年次推移の概要
出典:外務省「海外在留邦人数調査統計」
上記統計データは各年10月1日時点に日本大使館に提出されている在留届を基に、シンガポールに該当するデータを抽出しています。在留届を提出・更新していない日本人も多数いることが想定されるため、実際の数字はこれより大きくなると考えられます。そのため、今回の考察には大まかな傾向を知るデータとして活用しています。
分析
1. 長期滞在者数の推移
減少傾向:長期滞在者数は2020年以降減少傾向にあります。特に、2022年には前年から12.40%減少し、2023年にもさらに6.80%減少しています。この傾向はコロナ禍における世界的な経済低迷による日本企業の事業規模の縮小・再編等に伴う他国への転居や、ビザの発給条件の厳格化が影響している可能性があると思われます。
2. 永住者数の推移
増加傾向:永住者数は過去5年間において毎年増加しています。2023年は561名が永住権を取得し、増加率は2022年に続き前年比2桁増の13.90%になっています。これは安定的に長期滞在者がPRにステップアップしていることを示しています。
3. 全体比の変化
長期滞在者の全体比:全体に占める長期滞在者の割合は、2019年の92.50%から2023年には85.40%に減少しています。これは長期滞在者が減少している一方で、永住者が増加しているためです。
永住権申請に対する影響
1. ポジティブな傾向
永住者数の安定的な増加は、日本人の永住権取得が順調であることを示しており、ポジティブな傾向と言えます。
2. 申請をお考えの方へのアドバイス
・タイミングの重要性:永住権申請を検討している方は現在の増加傾向を踏まえ、機運をとらえた申請をお勧めします。審査の基準や承認者の属性が今後厳しくなる可能性も考えられるため、早期の準備と提出が望ましいと思われます。
・書類準備の徹底:増加傾向にあるとはいえ、適切な書類準備と明確な証拠提示は変わらず重要です。審査官に対する説得力のある申請を心掛けることが大切です。
いかがでしたでしょうか。
データに基づくと長期滞在者は減少傾向にある一方で、永住者は増加傾向にあります。長期滞在者が減少している中での永住権承認者数の安定的な推移は、今現在においては、日本人の永住権申請が比較的成功しやすい状況であることを示しています。ただし同じ傾向が今後も続くとは限らないため、現在申請者を検討されている方はこの傾向を理解しつつ、適切なタイミングでの申請と十分な準備を行うことが重要になります。
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